カテーテルアブレーション治療とは?

カテーテルアブレーション治療は、カテーテルを足のつけ根の血管から挿入し、心臓内の組織を焼く焼灼(しょうしゃく)などを行う治療法です。
小さなやけどが絶縁体の役割を果たし、不整脈を引き起こす異常な電気信号の広がりを妨ぎます。
医療の進歩は著しく、先端がバルーン状になったカテーテルを用いる治療法も採用されています。

歴史と症例数

カテーテルアブレーション治療は1980年代に開発され、従来の外科的手術よりも患者さんの負担が比較的少ない治療法として普及してきました。その後、カテーテルの位置を立体的に捉える3Dマッピングシステムが登場しました。

不整脈治療の歴史
 

かつては薬を服用して効果がない場合にのみカテーテルアブレーション治療が行われていましたが、現在では薬物治療と並んで多く実施されています。年々、 症例数が増え、年間10万件以上の施術が行われています。

カテーテルアブレーション治療の治療件数

高周波カテーテルアブレーション治療

カテーテル先端のチップ(電極)から高周波の電気を流して、心臓内の組織を1点ずつ50~70度で焼く治療法です。この焼灼(しょうしゃく)でできた小さなやけどにより、異常な電気信号が心臓全体に広がらないようにします。カテーテルは直径2mm程度と細く、焼灼するのはごく小さな部分です。

高周波カテーテルアブレーション治療

バルーンアブレーション治療

(冷凍、ホット、レーザー)

先端がバルーン状になったカテーテルを肺静脈の入り口に押し当て、肺静脈の入り口部分の組織をバルーンを用いて治療する治療法です。

バルーンの種類

■冷凍バルーン
冷たいガスにより、バルーンをおよそマイナス50度に冷やして組織を壊死させる。

■ホットバルーン
バルーン内の液を約70度に加熱して、組織を焼灼する。

■レーザーバルーン
バルーンの内側からレーザーを照射して、組織を焼灼する。

バルーンアブレーション治療

心臓を描写する3D マッピングシステム

3Dマッピングシステムは、心臓の立体的な画像と心臓内の電気的状態を正確に重ね合わせて表示します。3Dマッピングシステムにより、治療する位置をより正確に特定することができるようになりました。

3Dマッピングシステム

可能性のある合併症のリスク

カテーテルアブレーション治療では、まれに心臓に傷がついて、内部に血液・心のう液が溜まって心臓の動きが抑制される心タンポナーデや、血管内にできた血の塊(血栓)が脳の血管につまる脳梗塞が起こることがあります。ほかの合併症には、肺静脈狭窄や横隔神経麻痺、左房食道痩などがあります。 お体の状態により異なりますので、担当医の説明をよく聞いておきましょう。