前立腺肥大症
News Letter No.2
症状を感じ、悩みや不安がありながら、
誰にも相談せずに放置しているのが実態
おかしいと思ったら泌尿器科の専門医に相談を
約6割が排尿に関する悩みや気になることがある
この結果から、中高年男性の多くが、排尿に関する何らかの悩みを持ち、病気への不安を抱えている姿がうかがえます。しかし、こうした悩みを「誰かに相談したことがあるか」(単数回答)との質問には、78.7%が「誰にも相談したことがない」と回答、さらに「相談しない理由」(単数回答)としては、46.3%が「年齢のせいとあきらめている」と答えています。しかも、「医師に相談したことがある」と答えたのはわずか15%でした。症状を感じ、悩みや不安がありながら、誰にも相談せず、受診もせずに放置しているケースが大半の様です。
おしっこに違和感があったら、すぐに専門医である泌尿器科を受診
前立腺肥大症にはいくつかの治療法があります。症状が軽い初期段階には薬物療法が選択されます。これは、症状を緩和することを目的としているため、治療が長期に亘る場合、結果的には手術よりも治療費が多くかかってしまうこともあります。また、肥大が大きな場合には開腹手術があります。外科手術で腹部を切開し、肥大した腺腫を摘出するもので、侵襲度も大きく、合併症などの可能性もあります。よって最近は内視鏡と電気メスによる経尿道的前立腺切除術(TURP)が標準的といわれています。尿道から内視鏡を挿入して、電気メスで腺腫を切り取る治療法で、開腹手術に比べると身体への負担が軽いことが特徴ですが、出血をともない、3~7日の入院期間が必要です。
最先端の治療法としてはホルミウム・レーザーを使用した手術法があります。これは尿道から内視鏡を通し、ファイバーを挿入してレーザー光を照射し腺腫を摘出するものです。これには肥大した腺腫をレーザー光でくり貫く「HoLEP(ホーレップ)」と、レーザー光で腺腫を蒸散させる「HoLAP(ホーラップ)」の二つの方法があります。このレーザー手術法は出血量が少なく、尿道カテーテル留置や入院の期間も短く、低侵襲で身体への負担が少ないのが特徴です。なかでも比較的小さな肥大の方に適応される「HoLAP」はさらに低侵襲な治療法であり、出血もほとんどなく入院期間も一泊二日程度です。
監修:
東海大学医学部外科学系 泌尿器科学教授
寺地 敏郎先生