CRT-D システムは手術によって植込まれます。手術では麻酔が使われるので、大きな痛みを伴いません。手術の際、通常は鎖骨の近くを小さく切開して、まず2本のリードを静脈に挿入します。そしてこれらのリードを静脈を介して心臓(1本は右心房、もう1本は右心室)に進め、リードの先端部を心臓の内壁に留置します。3本目のリードも同様に鎖骨の近くの静脈に挿入し、左心室表面側に位置する冠状静脈に留置します(図8)。

場合によっては、3本目のリードを静脈に挿入する代わりに胸部の脇を切開し、切開部から挿入しなければならないことがあります。このような胸部手術が必要かどうかは担当医師から説明があります。

リードの留置後、テストを行い心臓の信号が的確に感知されて、適切にペーシングすることを確認します。このテストの後、デバイスにリードを接続し、デバイスを植込みます(通常、鎖骨より下の皮下)。

そして、CRT-D システムのテストを行います。このテストでは、医師は心臓に不整脈を発生させ、デバイスがこの不整脈を検出して、プログラムされた治療を行うことを確認します。

システムのテスト後、担当医師は切開創を縫合します。手術後、この切開創の部位に多少の不快感を感ずることがあります。この手術後の活動については、担当医師にご相談ください。

植込みに伴うリスク

合併症は頻繁に発症するものではありませんが、一般的な外科手術と同様、この機器本体またはリードの植込みに伴うリスクについて理解しておくことが大切です。以下に挙げるものも含めて、リスクについては、担当医師にご相談ください。
植込み手術の間に起こりうるリスクには以下のものがあります(ただし、これらに限定されるものではありません)。

  • 出血
  • 血栓の形成
  • 隣接する組織の損傷(腱、筋肉、神経)
  • 肺または静脈の穿孔
  • 心臓の損傷(穿孔または組織の損傷)
  • 危険な不整脈
  • 腎機能不全
  • 心臓発作
  • 脳卒中
  • 死亡

システム植込み後に起こりうるリスクには以下のものがあります(ただし、これらに限定されるものではありません)。 

  • 感染症の発症
  • 本体周辺の皮膚に発症することがある糜爛
  • 心臓内でのリードの移動・ずれ
  • リードの電極やペーシングパルスによる周辺組織(心臓組織や神経を含む)への炎症、あるいは悪影響
  • 植込み部位からの本体の移動・ずれ
  • 植込み型機器自体に対する違和感
  • 電磁障害の原因によるデバイスの電気ショックやペーシング治療の抑制(「デバイスに関する重要事項」を参照)
  • 不必要なショックおよびペーシング治療(不適切作動)
  • 心拍の不適切な検出または治療の不全
  • 機器の不具合による治療の質の低下、あるいは治療に対する影響。「製品の信頼性」を参照

 

システム植込みに伴うリスクと利点について担当医師とよく話し合うことが大切です。