はじめに

心不全の症状とは、医学的に言えば、心筋が身体の必要とする充分な血液を送り出せない状態にあります。このような状態を治療するため、両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)システムの使用を担当医師は薦めました。

このCRT-D システムは、心調律(心臓のリズム)に何らかの問題が生じた場合に備え、監視と治療を行う目的で設計されており、心不全症状に伴うリスクを大幅に減らします。また、より効果的に心臓が血液を送り出し、身体が必要とする血流が得られるよう設計されています。 

このコンテンツでは、心調律が速すぎる、または遅すぎる場合に対処するCRT-Dシステムの仕組みについて説明しています。そして、術後に行える行動や、避けなければならない事柄、また、日常生活の変化についてもふれています。さらに、CRT-Dを使用している方の一般的な質問についてもお答えしています。

用語集には、このコンテンツによく出てくる用語や担当医師や看護師からよく聞く用語が、説明されています。 

CRT-Dはどのようなときに植込まれるのでしょうか

一時的で、正常に戻るような原因の心室調律障害や心不全症状をもつ方には、CRT-Dの植込みは行われません。また、CRT-Dは薬物治療と併用できない心不全患者さんには推奨されません。心房調律の障害等によりCRT-Dの併用を推奨しない場合があります。CRT-Dを使用しない場合についてのご質問は、担当医師にお尋ねください。
弊社は製品の信頼性等に関する情報を公開しております。詳しくは、担当医師にお尋ねください。

植込み手術の費用はいくらかかりますか?

植込み手術にかかる費用は、手術の手技料(手術技術料)と治療材料費(医療機器)があり、これらは原則的に保険対象となります。
材料費には、CRT-D 本体、必要なリード類、その他の付属品などの金額が含まれ、それに手技料をあわせると、合計およそ500 ~ 600 万円になります。保険の種類によって自己負担額は異なりますが、費用総額のうち大部分は保険でまかなわれることになるでしょう。CRT-D 植込み手術の場合、公的高額医療(高額療養費支給制度)の対象となりますので、自己負担限度額以上は後で還付されます。例えば、国民健康保険に加入している70 歳未満で所得区分が一般の方の場合、高額医療費の自己負担限度額は[80,100 円+(医療費− 267,000 円)× 1%]となり、例えば医療費が600 万円の場合、自己負担額は137,430 円という計算になります。
この他に、入院費は社会保険の点数表により計算され、その間の治療費なども保険対象になります。特別室や有料個室の室料差額(差額ベッド)や、入院証明書などの文書料、介護費などは一般的に、保険対象外として実費負担となります。
各種医療受給者証や公的費用負担制度などによっても、負担金の一部もしくは全部が免除されることもあります。詳しくは、各自治体の保健課や民生課、もしくは医療機関の担当課にお問い合わせください。

製品の信頼性

Boston Scientific 社は高品質で、信頼性の高い植込み型機器を提供することを第一に考えております。しかし、稀に機器の不具合により治療の質が低下したり、治療に影響したりする可能性があります。弊社は、製品の信頼性にかかわる情報、不具合の種類と発生率を含むすべての機器性能情報においても、積極的に公開するよう努めております。これらの製品情報は機器の将来的な性能を予測するものではありません。製品の全般的な信頼性を理解する上で、このようなデータは重要であり参考になると考えております。この製品の性能データや、この機器の植込みに関わる情報については、担当医師にご相談ください。