CRT-Pシステムは手術によって植込まれます。
手術は麻酔をかけて行われるため、あまり痛みは感じません。手術の際、通常は鎖骨の近くを小さく切開して2本のリードを静脈に挿入します。
そしてこれらのリードを静脈から心臓(1本を右心房、もう1本を右心室)に挿入し、リードの先端部を心臓の内壁に当てて留置します。さらに、3番目のリードを冠状静脈に挿入し、左心室の外側表面に留置します(図5)。

症例によっては、静脈ではなく胸部の側方の切開部を通して3番目のリードを心臓の表面に留置しなければならない場合もあります。この胸部手術が選択肢となるかどうかについては、担当医師にご相談ください。

リードの留置後にテストを行い、心臓の信号が適切に感知されることと、適切にペーシングできることを確認します。このテストの後、CRT-Pにリードを接続し、CRT-Pシステムを植込みます(通常、鎖骨より下の皮下)。

次に、担当医師はCRT-Pシステムのテストを行い、システムが心調律を適切に監視して治療できることを確認します。

CRT-Pシステムのテスト後、担当医師は切開創を縫合します。手術後、この切開創の部位に多少の不快感を感じることがあります。この手術後の活動については、担当医師にご相談ください。

植込みに伴うリスク

合併症は頻繁に発症するものではありませんが、一般的な外科手術と同様、この装置本体またはリードの植込みに伴うリスクについて理解しておくことが大切です。以下に挙げるものも含めて、リスクについては、担当医師にご相談ください。

植込み手術の間に起こりうるリスクには以下のものがあります(ただし、これらに限定されるものではありません)。 

  • 出血
  • 血栓の形成
  • 隣接する組織の損傷(腱、筋肉、神経)
  • 肺または静脈の穿孔
  • 心臓の損傷(穿孔または組織の損傷)
  • 危険な不整脈
  • 腎機能不全
  • 心臓発作
  • 脳卒中
  • 死亡

システム植込み後に起こりうるリスクには以下のものがあります(ただし、これらに限定されるものではありません)。

  • 感染症の発症
  • 装置周辺皮膚の糜爛
  • 植込み部位からの装置の移動・ずれ
  • 心臓内でのリードの移動・ずれ
  • リードの電極やペーシングパルスによる周辺組織
    (心臓組織や神経を含む)への炎症、あるいは悪影響
  • 植込み型装置自体に対する違和感
  • 電磁干渉によるCRT-Pのペーシング治療の抑制
    (「使用上の注意事項」を参照してください)
  • 不必要なペーシング治療
  • 心拍の検出や適切な心拍治療の不全
  • 装置の不具合による治療の質の低下、あるいは治療に対する影響
    (「CRT-Pの信頼性」を参照してください)
システム植込みに伴うリスクと利点について担当医師とよく話し合うことが大切です。