頚動脈ステント治療(CAS)について
頚動脈ステント治療(CAS)の実際
治療は局所麻酔で行われます。
患者さんにベッドに仰向けに寝て頂き、X線を使用して行われます。(図A)
頚動脈ステント治療では、通常脚の付け根(そけい部)の血管からカテーテルと呼ばれる管を挿入し、血管の内から病変部にアプローチして治療を施します。(図B)
- まず、治療中に血管壁の破片や血栓が脳血管へ流れて脳梗塞を起こすのを防ぐため、頚動脈の細くなっている部分(狭窄部)より奥にフィルターを留置して、脳を保護します。
- 頚動脈の狭窄部をバルーンカテーテル(風船)で広げます。
- バルーンカテーテルを抜去したのち、ステントと呼ばれる金属性のメッシュ状の筒を留置します。
- ステントを留置した場所を再度バルーンカテーテルで広げることにより、内腔をさらに広げます。
- 拡張を確認した後、バルーンカテーテルやフィルターを回収して終了します。
合併症について
合併症として最も多いものは脳梗塞です。脳を保護する器具を用いることで減少しましたが、完全に予防することはできません。これは細かい破片や血栓がフィルターをすり抜けたり、治療後に新たに形成されることによると考えられます。
岐阜大学医学部附属病院を例にとると、治療に際しては全例で脳を保護する器具を用いて治療が行われています。しかし脳梗塞が起きることがあります。
岐阜大学医学部付属病院にて行われた最近の100例においては、永久合併症が2%以下という、極めて優れた治療成績が得られています。