2024-6-14

脳深部刺激療法向け画像誘導ソフトウェア「STIMVIEW™ XT」の販売開始
- 術後の刺激調整をサポート -
~Brainlab AGとの共同開発で3D脳構造可視化とリアルタイムな刺激調整が可能に~

ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:森川智之)は新たに画像を活用した術後刺激調整用ソフトウェアSTIMVIEWTM XTのサービス提供を全国にて開始いたしました。ソフトウェア主導の医療テクノロジー分野でリーディングカンパニーであるBrainlab AGと当社の共同開発により生まれたSTIMVIEWTM XTは、パーキンソン病、本態性振戦、ジストニアの患者の脳構造物や埋め込まれたDBS(Deep Brain Stimulation:脳深部刺激療法)リードの3D画像に刺激モデリングをリアルタイムで重ね合わせ可視化することが可能です。
STIMVIEWTM XTは、DBSプログラミング(刺激調整)のための可視化ソフトウェアとして開発されました。患者固有の脳構造物が、患者に埋め込まれたDBSリードとの位置関係、刺激モデリングと共に、刺激調整用端末のインターフェースに統合されます。この可視化により、医療者の意思決定をサポートし、刺激調整の時間短縮に貢献します。最近の研究1では、ボストン・サイエンティフィックの可視化ソフトウェアを使うと、平均約20分で刺激の調整ができ、プログラミングに要する時間が56%2も短縮されることが分かっています。

販売名:BSN クリニシャンプログラマ(医療機器承認番号:22900BZX00098000)
DBS治療では、脳神経内科医と外科医がそれぞれの専門知識と技術を組み合わせ、患者さんに最適な治療を提供するために協力することが重要です。
順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経内科 服部信孝教授は次のように述べています。「現在、進行期パーキンソン病治療の選択肢の一つであるDBS療法に携わる脳神経内科医は多いとは言えない状況です。理由の一つとして、外科的要素を含む本治療法の取入れにくさがあると考えます。当院では、脳神経内科と脳神経外科合同のチームを持ち、脳神経内科がより早い段階からDBS療法について学び、脳神経外科と共に治療戦略を構築することで、最適な時期に最適な治療を患者さんに提供できるよう取り組んでいます。STIMVIEWTM XTは、患者さん個々の脳解剖において、刺激部位における効果・副作用の発現の可能性を視覚情報として参照できるという点で、脳神経内科にとってより有益な情報ツールであるとともに、有効な教育ツールともなり得ます。STIMVIEWTM XTが、患者さんと医療者両者にとって、より最適な結果を追求するソリューションとなることを期待しています。」
また、脳神経外科の立場として、順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経外科 梅村淳教授は次のように述べています。「個々の患者さんに合わせた正確な刺激調整が求められるDBS治療を、医師の知識と経験を頼りに、手探り状態で管理している現状があります。画像誘導プログラミングツールが3D画像を集約し、医師が ‘どこを刺激しているのか’ を視覚的に参照しながらDBS治療のカスタマイズができるように支援することは、医師にとって大いに期待がふくらむことです。また、刺激調整時間が短縮されることは、患者さんのストレスと負担の軽減につながります。」
当社 代表取締役社長の森川智之は「パーキンソン病、本態性振戦、ジストニアなどの患者さんは、それぞれ症状が異なるため、治療も個別化される必要があります。当社のテクノロジーにより、脳構造及び刺激モデリングを可視化した状態でのDBS機器の操作が実現し、患者さんの個別ニーズに合わせた治療が可能となります。この進歩は、医師の皆様をサポートするための意義あるイノベーションの証です。」と述べています。
■ボストン・サイエンティフィックのDBSシステムについて
現在販売しており本ソフトウェアと併用するVercise GenusTMDBSシステムは、パーキンソン病、本態性振戦、ジストニアなどの症状緩和を目的に開発された第4世代のシステムです。体内に埋め込み可能なパルス発生器(IPG)により、手術で脳内にリードを埋め込み、狙った部位に電気刺激を送ることで治療効果を得ることができます。Vercise GenusTMの製品ポートフォリオには、条件付きMRI撮像、症状緩和を目指すCartesiaTMディレクショナルリードにパルスを送るIPGが複数用意されています。また、IPGはBluetooth接続が可能であり、充電式と非充電式のタイプが提供されています。
*1 : Launge et al. Frontiers in Neurology. 2021, Volume 12.
*2 : ボストン・サイエンティフィック社による計算、 Standard clinical-based programming (CBP) と anatomical-based (imaging-guided) programming (ABP)のプログラミングにかかる時間の比較, p=0.039
 
 

<ボストン・サイエンティフィックについて>

ボストン・サイエンティフィックは、世界中の患者さんの健康を向上させる革新的なメディカルソリューションを提供することにより、患者さんの生活を改善しています。40年以上に亘り、グローバルにおいて医療テクノロジーのリーダーとして、患者さんの満たされていないニーズに応え、ヘルスケアにかかるコストを削減するパフォーマンスの高いソリューションを幅広く提供することにより、患者さんの生活に貢献するためのメディカルサイエンスを発展させています。日本においては、心血管疾患領域をはじめ、不整脈・心不全疾患領域、末梢血管疾患、消化器疾患、泌尿器疾患、婦人科疾患領域、疼痛管理・パーキンソン病の治療領域で、患者さんの人生を実り多いものにすることに全力で取り組み、日本の医療に意義のあるイノベーションを起こしていきます。
企業サイト:https://www.bostonscientific.jp
 
脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation, DBS)に関する詳細は、一般および患者さん向けのウェブサイトでご覧いただけます。以下のリンクよりアクセスしてください。
脳深部刺激療法: はじめに (bostonscientific.com)