2019-4-25

本邦初*1、希少疾患「無心体双胎」における胎児治療の選択肢を提供
肝臓がん治療のラジオ波焼灼システム「RFAシステム」が適応拡大承認取得
~標準治療がなかった同疾患に新たな治療の選択肢を提供~

ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:内木 祐介)は、肝臓がんの治療に使用するラジオ波焼灼システム「RFAシステム」が無心体双胎に対する適応拡大承認を取得し、2019年3月1日より保険収載されたことをお知らせします。2017年1月、日本産科婦人科学会、日本周産期・新生児医学会、日本胎児治療学会の3学会から厚生労働省及び当社含む関係企業に対して、本製品の無心体双胎に対する適応拡大を求める要望書が提出され、当社はその要望書に基づいて同年12月に適応拡大のための承認事項一部変更承認申請を行いました。その後、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による審査を経て、2018年7月に承認取得に至りました。

無心体双胎は、35,000人の妊娠に1人*2の頻度で発生すると言われる双胎妊娠の異常の1つである一絨毛膜性双胎(双生児が1つの胎盤を共有する状態)に特有の異常で、健常児(ポンプ児)が無心体(臓器構造を有さず体外では成育しない組織塊)と子宮内で共存する病態です。ポンプ児と無心体は1つの胎盤を共有しているため、ポンプ児は胎盤内の吻合血管を通じて自身の体循環以外に無心体にも血液を供給することになります。このような状態が続くと、ポンプ児には心負荷がかかり、重篤な場合は心不全となり死亡するリスクがあります。

無心体双胎の治療法は、ポンプ児の心負荷の原因となる無心体への血流を物理的に遮断します。現在は、ラジオ波エネルギーを用いて血流を遮断する焼灼術が主流となっていますが、日本では年間約30例弱*3の極めて稀な疾患で治験が難しく、適応承認を受ける機器はありませんでした。



販売名:RFA システム(医療機器承認番号:21700BZY00127000)


※RFAシステムによる治療イメージ

国立成育医療研究センターの副院長であり、周産期・母性診療センター長も務められている左合 治彦先生は、「無心体双胎は、未治療の場合の生存率がおよそ40%とハイリスクな疾患で、大変苦慮してきました。ラジオ波焼灼術を行なうことによって生存率は80%以上と飛躍的に向上します。同システムの適応拡大により胎児治療法として正式な手段が得られたことは大きな朗報です」とコメントされています。

また、当社の取締役専務執行役員 エンドスコピー事業部長兼事業開発本部長の瀧川  泰司は、「無心体双胎は極めて稀な疾患で、これまで正式な治療機器はありませんでした。そうした背景から3学会連名の適応拡大に関する要望書を2017年に受領し、薬事申請に向けたプロジェクトを開始しました。胎児および母体にとっての安全を第一に考え、様々なリスクを洗い出しながら、協力してまいりました。承認後も関連学会と連携の上、適正使用の指針を設けるなど、密接な連携を図っています。当社は今後も、本製品が患者さんおよび医療関係者により広く貢献できる製品となることを願い、関係各位との協力のもと、アンメット・メディカル・ニーズへの対応にも一層の努力をしていく所存です」と述べています。

 

■ラジオ波焼灼システム「RFAシステム」につい

ラジオ波焼灼システムは、穿刺したニードルの電極から患部組織へラジオ波ジェネレータからのラジオ波を出力し、電極に接触している導電組織を凝固及び焼灼させるもので、これまで肝悪性腫瘍(肝臓がん)の凝固に用いられてきました。ラジオ波焼灼システムを用いた胎児治療では、無心体の臍帯入口部付近の組織をニードルで穿刺焼灼することにより、ポンプ児から無心体への血流を遮断します。

 

*1:2019年4月25日現在

*2:出典:Ruiz-Cordero R, et al. Twin Reversed Arterial Perfusion Sequence(TRAPS): An Illustrative Series of 13 Cases. Fetal Pediatr Pathol. 2016;35 : 63-80.

*3:人口動態統計より本邦における近年の出生数約100万出生/年として算出

 

ボストン・サイエンティフィックについて

ボストン・サイエンティフィックは、低侵襲治療(インターベンション)に特化した医療機器メーカーとして、1979年に米国で誕生しました。現在の取扱製品は13,000種以上であり、グローバルで約29,000名の従業員、13ヵ所の製造拠点を擁し、125ヵ国近くのマーケットで確固たる地位を誇る世界最大級の医療機器メーカーとして、医療テクノロジーをリードし続けています。

世界第2位の医療機器市場である日本においては、心血管疾患領域をはじめ、不整脈・心不全疾患領域、末梢血管疾患、消化器疾患、泌尿器疾患、婦人科疾患領域、疼痛管理・パーキンソン病の治療領域で、患者さんの人生を実り多いものにすることに全力で取り組み、日本の医療に意義のあるイノベーションを起こしていきます。

企業サイト:https://www.bostonscientific.jp

 

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