2013-05-09
PROTECT AF試験における長期フォローアップの最新の4年間データにより、心房細動患者の死亡率および主要有効性に関してWATCHMAN®デバイスがワルファリンに対して優越性を示すことを実証
(このプレスリリースは、2013年5月9日に米国ボストン・サイエンティフィック社が発表したプレスリリースを翻訳したものです。当該製品は、2013年5月9日時点で日本において未承認品です。)
ボストン・サイエンティフィック社(本社:マサチューセッツ州ネイティック、NY証券取引所略号:BSX)は本日(2013年5月9日)、PROTECT AF臨床試験の4年間フォローアップデータにより、心血管死亡、全脳卒中および全身塞栓症の予防においてWATCHMAN®左心耳(LAA)閉鎖術用デバイスがワルファリンよりも統計的に優れていることが実証されたと発表しました。本データでは、ワルファリンと比較して心血管死亡および全死亡が著しく低減することが実証されました。本データは、デンバーで開催される不整脈学会第34回科学総会Heart Rhythm 2013において、医学教授およびニューヨークのマウント・サイナイ医療センター不整脈センターの責任者であり、PROTECT AF試験の治験責任医師を務めるバイベック・レディー医師によって最新臨床試験として本日発表されました。抄録のタイトルは「Long Term Results of PROTECT AF: The Mortality Effects of Left Atrial Appendage Closure versus Warfarin for Stroke Prophylaxis in AF」(PROTECT AF試験の長期結果:心房細動患者の脳卒中予防を目的とした左心耳閉鎖術およびワルファリンの使用の死亡率に与える影響の比較)です。
心房細動は不整脈の一種であり、血栓、脳卒中、心不全およびその他の心臓関連の合併症を引き起こす恐れがあります。米国で約270万人、全世界で1,500万人の健康に影響を及ぼしており、患者に障害を残すような脳卒中で最も多い原因となっています。そのため、脳卒中を引き起こすリスク要因である血栓を減らすことが心房細動患者における治療の第一目的となっています。心房細動に加えて脳卒中のリスク要因を抱える患者さんは通常、心臓で血栓が形成されるのを防ぐために、ワルファリンのような抗凝固薬剤とも呼ばれる抗凝血薬を処方されています。しかし、血液のモニタリング要件、食事制限、副作用および致命的な出血のリスク増加が原因となり、多くの患者さんはこれらの薬剤投与を長期間受けることができなかったり、受けたがらなかったりします。これに対してWATCHMANデバイスは、心房細動患者の血栓の主な発生原因である左心耳を塞いで脳卒中のリスクを軽減するよう設計されているため、抗凝血薬を長期間使用する必要性がなくなる可能性があります。
「これは大きな進展だと言えます。なぜならWATCHMANデバイスが主要有効性に加え死亡率においてもワルファリンより優れていることを初めて実証できたためです」とレディー医師は述べています。また「患者さんにとっても利点となる可能性が多大にあります。PROTECT AF試験では、WATCHMANデバイスを用いた左心耳閉鎖術が、心房細動患者の脳卒中リスクを軽減するためのデバイスを用いた治療法となり得ることが実証されました。医療従事者として私たちは多くの場合、患者さんに対して一生涯にわたって全身性抗凝固療法を行うのは、転倒したり出血したりするリスクを増加させるため好ましくないと感じています。4年間データによって、左心耳閉鎖術が、脳卒中リスクを軽減するために患者さんに対して行う長期ワルファリン療法の有望な長期代替療法になり得ることがさらに裏づけられます」とも述べています。
PROTECT AF臨床試験は多施設共同前向き無作為化臨床試験であり、ワルファリン療法が適応となり特定の脳卒中リスク要因を有している非弁膜症性心房細動患者におけるボストン・サイエンティフィック社のWATCHMANデバイスの安全性と有効性を実証することを目的として設計されています。59の施設からの合計707人の患者さんに対して無作為にデバイス群とワルファリン群(対照群)に2:1の割合で割付が行われました。
結果
PROTECT AF試験では、すべての脳卒中、心血管死亡または原因不明の死亡、および全身性塞栓症の複合エンドポイントにおいて優越性が得られました[1]。
- 認められた主要有効性イベント発生率はWATCHMANデバイス群で2.3%、対照群で3.8%となり、WATCHMAN群の主要有効性における相対リスクが40%低下することが実証されました(RR=0.60、優越性の事後確率=96%)。
2次分析でも、相対リスクの低下ならびに全死亡および心血管死亡における対照群に対する優越性が示されました。
- 全死亡:WATCHMAN群(3.2%)は対照群(4.8%)よりも優越であり、WATCHMAN群の全死亡における相対リスクが34%低下することが示されました(HR=0.66、p=0.0379)。
- 心血管死亡:WATCHMAN群(1.0%)は対照群(2.4%)よりも優越であり、WATCHMAN群の心血管死亡における相対リスクが60%低下することが示されました(HR=0.40、p=0.0045)。
[1] ベイズ分析において事後確率は95%以上が優越性を示すという優越性の定義に使用されています。
「これは非弁膜症性心房細動と高い脳卒中リスクを抱える患者さんにとって朗報です」とボストン・サイエンティフィック社のカーディアック・リズム・マネジメント事業部の最高医療責任者であるケネス・スタイン医学博士は述べています。また「これらのデータにより、WATCHMANデバイスがこのような患者さんにおける現行の標準治療よりも優れていることと、脳卒中を予防するとともに患者さんの命を救う可能性があることが説得力をもって実証されました。WATCHMANデバイスは、意義あるイノベーションおよび患者さんの生活を向上させるために必要となるツールを医療業界に提供することに対するボストン・サイエンティフィック社の献身を強調するものです」とも述べています。
WATCHMANについて
WATCHMANデバイスが最も研究されている左心耳閉鎖術用デバイスであるとともに長期フォローアップで使用される唯一の左心耳閉鎖術用デバイスであるということはすでに数多く実証されていますが、PROTECT AF試験の長期データによってこれがさらに裏づけられます。PROTECT AF試験、PREVAIL試験、WATCHMANのパイロット試験における6年間データ、ASAP試験およびCAPレジストリのデータから、米国におけるデバイスの薬事承認を後押しするために完全な最終臨床モジュールの基盤が作られる予定です。WATCHMANデバイスの臨床試験では、現時点で2,000人を超す患者さんにおいて4,800人年のフォローアップが行われています。
WATCHMANデバイスは2005年に欧州における販売が承認され、2009年にはアジアのいくつかの国においても販売が承認されました。現在は全世界55ヵ国において市販されています。米国においては、WATCHMANデバイスは臨床試験用医療機器の扱いで、適用法により研究目的の使用に制限されており市販はされていません。本デバイスは、2011年3月にボストン・サイエンティフィック社が買収したAtritech社により開発されました。詳しくはウェブサイト https://www.bostonscientific.eu/alternative-to-warfarin.html をご覧ください。WATCHMANデバイスの画像イメージは https://bostonscientific.mediaroom.com/image-gallery?mode=gallery&cat=1760 でダウンロードすることができます。
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